ÅKE HOLM “Raven”
¥120,000
ÅKE HOLM(オーケ・ホルム)は聖書の物語だけでなく、故郷ヘーガネス(Höganäs)の身近な動物たちにも、その創作意欲を向けました。彼はかつて「あえて自然を研究することはしない」と語ったように、動物の姿をただ写実的に再現することを目指しませんでした。彼が捉えようとしたのは、記憶の中にある動物の何気ない仕草や本質的な姿、いわば「概念自体」だったのです。
本作は、そうした彼の創作姿勢が色濃く表れた一点です。鳥をモチーフとしながらも、そのフォルムは極限まで単純化され、細部を削ぎ落としたシルエットと量感で、鳥らしさが見事に表現されています。素材にはシャモット(chamotte)を含む炻器(stengods)が用いられ、素朴で力強い質感が与えられています。表面を覆う、まるで鋳鉄(järn)を思わせる重厚なマット釉は、聖書彫刻で用いたものと同じですが、ここでは動物の持つ根源的な生命の温かみを静かに伝えているかのようです。
見たままの姿ではないからこそ、私たちの記憶にある鳥のイメージと重なり、深い愛着を感じさせます。作家の動物に対する愛情に満ちた眼差しが伝わってくる作品です。
ヒビや欠けもなく良いコンディションです。
h15 (cm)
1950s
「Holm Höganäs」というサインから同時代のものと判断できます。
ただオーケ・ホルムの作品を年代順に把握することはかなり難しいです。
彼の作品は日付けがつけられておらず、彼自身も制作年代について具体的なことを語るのを避けるためです。
シリーズごとにおおよその年代は分かりますが、後年に過去の手法を用いて作ることもあるため、特定は困難です。
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。
【自身の工房で一人で作り続けた作品は全て一点物となっています】