Åke Holm “Litografi 63”
¥32,000
木の枝に腰掛け、静かに下を見つめる一人の男。
木に登った徴税人
この作品は「ザアカイ」(ルカによる福音書19章)を描いていると思われます。
ザアカイはエリコの町の徴税人の頭で、裕福でしたが背が低い人物でした。イエスがエリコを通ると聞き、その姿を見ようとしましたが、群衆に遮られて見ることができません。そこで彼は先回りして、いちじく桑の木に登りました。イエスはその木の下を通りかかると、上を見上げて「ザアカイ、急いで降りて来なさい。今日はあなたの家に泊まることにしている」と声をかけます。
Holmはこの場面を、黒いシルエットで大胆に表現しています。枝の間に身を潜めるようにして座る男の姿。顔はわずかに描かれていますが、表情までは読み取れません。「見たい」という強い思いから木に登り、そこで思いがけず声をかけられる——その「待っている」瞬間が、静かな構図の中に凝縮されています。
シルエットと様式化された木
背景には、上部の淡い紫から下部のクリーム色へと移り変わるグラデーションが広がっています。木の枝は鋭角的に様式化され、写実ではなく記号的な表現に近づいています。人物と木が一体となったような構成は、ザアカイが群衆から離れ、木の中に「隠れている」状態を視覚的に示しているようです。
Holmは聖書を信仰の対象としてではなく、興味深い物語として捉えました。聖書の記述を忠実に再現するのではなく、その場面で何が起きていたのか、想像力を働かせて描く。この作品でも、「背の低い金持ちが木に登って待っている」という、どこかユーモラスで人間味のある状況が、簡潔な造形の中に表現されています。
博物館メンバーのための限定版画
Åke Holmは44年間にわたりHöganäs博物館の理事を務めました。このリトグラフは、博物館の年間メンバーシップのために制作された限定版画の一つです。269点もの版画を制作し、その売上は博物館の増築資金となりました。
Holmは訪問者を避け、観光客への販売を好みませんでした。時にはスウェーデン国王にさえ販売を断ったという逸話が残っています。この版画は、そうした作家の作品が博物館という場を通じて、理解ある支援者の手に渡っていった証でもあります。
技法: リトグラフ(多色刷り)
エディション: 131/250
サイズ: 33×26 (cm)
サイン: 右下に「Å Holm」(鉛筆)
額装: 木製フレーム、マット付き
状態: Very Good 良い状態です。
軽い経年感やスレがありますが、全体の印象を損なうものではありません。
SKU: 20241013a10 カテゴリー: ALL ITEMS, Åke Holm, 絵・イラスト・ポスター, Åke Holm Litograf タグ: art
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。






