本作品は、オーケ・ホルム(Åke Holm)が陶芸家として自身の表現を模索していた時期の制作と思われる、希少な鉢(Skål)です。裏面には、1930年代後半から用いられるようになった「ÅKE Holm」の署名が刻まれています。
外側はシャモット(chamotte)を混ぜ込んだ土の力強い質感をそのまま残しているのに対し、内側にはコバルトブルーの釉薬で女性の横顔が大胆に描かれています。聖書の男性像を主な主題としたホルムですが、キャリアを通じて女性像も手掛けており、本作はその絵画的な作例の一つです。
彫刻作品に見られる重厚さとは異なり、ここでは土の素地の色と釉薬の対比によって、平面的でありながらも強い印象を与える装飾が生み出されています。彫刻家としてだけでなく、優れた素描家でもあったホルムの、造形と描画に対する鋭い感覚が融合した一点です。
ヒビや欠けもなく良いコンディションです。
φ17.5 T6.5 (cm)
オーケ・ホルムの作品を年代順に把握することはかなり難しいです。
彼の作品は日付けがつけられておらず、彼自身も制作年代について具体的なことを語るのを避けるためです。
シリーズごとにおおよその年代は分かりますが、後年に過去の手法を用いて作ることもあるため、特定は困難です。
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。