Åke Holm Bowl 18.5cm
¥150,000
スウェーデン陶芸の聖地、Höganäs(ヘーガネス)に生まれ、その土と炎に生涯を捧げた20世紀の巨匠、Åke Holm(オーケ・ホルム)。本作は、彼のキャリアにおける重要な転換期である1970年代以降、最晩年に制作された作品です。
オーケ・ホルムの作品の多くは、1969年に閉鎖されるまで、Höganäsbolaget(ヘーガネス社)のルールファブリーケン(Rörfabriken)にあった石炭窯で焼成されていました。その炎が直接作品に当たる(火橋 eldbrygga) ことで生まれる「生き生きとした釉薬(levande glasyrer)」 は、彼の代名詞とも言えるものでした。しかし、工場の閉鎖により、ホルムは自身の工房にある電気窯(elektrisk ugn)の使用へと移行せざるを得なくなります。資料によれば、この電気窯による焼成は、それまでの作品とは対照的に「著しく均一で、より単色に近い」結果をもたらしました。
滑らかで落ち着いたクリーム色の釉薬は、まさにこの電気窯の均一な焼成特性を活かしたものです。これは、キャリアの最終章において、ホルムが取り組んだ新たな釉薬実験の成果であり、まさに現代に通じる「モダンな色合い」と言えます。多くの人々に好まれたこの均一な釉薬 は、彼が石炭窯で追求した複雑な表情とは異なる、もう一つの美の境地を示しています。
そして、このモダンでクリーンな外観とは対照的に、ボウルの内側には彼ならではの遊び心が表れています。大胆な筆致で描かれた人物の顔は、彼が初期のテラコッタ作品から一貫して持ち続けた「ユーモア(humor)」 と、鋭い観察眼 を感じさせます。
ホルムは彫刻的な造形を好み、「ろくろを挽くことを好まなかった」と伝えられています。その彼が、あえてシンプルな鉢のフォルムをキャンバスとして選び、キャリア最晩年に習得した電気窯のモダンな釉薬表現と、生涯変わることのなかった人間味あふれる描画を融合させた、非常に興味深い一点です。
ヒビや欠けもなく良いコンディションです。
φ18.5 h7.5 (cm)
1970s
オーケ・ホルムの作品を年代順に把握することはかなり難しいです。
彼の作品は日付けがつけられておらず、彼自身も制作年代について具体的なことを語るのを避けるためです。
シリーズごとにおおよその年代は分かりますが、後年に過去の手法を用いて作ることもあるため、特定は困難です。
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。



