Åke Holm “Litografi 66”
¥32,000
黒いシルエットで描かれた二つの裸体。陶芸家Åke Holmが版画で表現した、人類最初の物語の一場面です。
聖書の原初の物語
この作品は「アダムとエバ」(創世記3章)を描いていると思われます。聖書に登場する裸の男女といえば、まず思い浮かぶのがこの二人です。
画面には、黒いシルエットで表現された男女が並んで立っています。左の人物は腕を頭の後ろに回すようなポーズ、右の人物は顔を横に向け、何かを見つめているようにも見えます。右端には木のような縦の線が描かれており、これはエデンの園の「知恵の木」、あるいは楽園を象徴する木かもしれません。
二人の姿勢には、楽園の平穏というよりも、どこか緊張感が漂います。禁断の実を食べ、「目が開けて」自分たちが裸であることを知った、その瞬間なのかもしれません。あるいは神に見つかり、楽園を追われようとしている場面なのかもしれません。
シルエットという表現
Holmは人物を黒一色のシルエットで描いています。顔の表情も、肌の色も、何も見えません。けれどもその輪郭だけで、男女であること、裸体であること、そして二人の間にある緊張した空気が伝わってきます。
背景は上部のクリーム色から下部の淡い緑へと穏やかに変化しています。この緑は、失われゆく楽園の草地を暗示しているのでしょうか。温かみのある黄色と、地面の緑。その中に浮かぶ黒い二つの影。色彩の対比が、物語の劇的な転換点を静かに物語っています。
物語としての聖書
Åke Holmは聖書を、信仰の対象としてではなく「興味深い題材」として捉えていました。教えを伝えるのではなく、物語としての魅力を描く。アダムとエバという、あまりにも有名な二人を、Holmは装飾を削ぎ落としたシルエットだけで表現しました。
宗教画に見られるような象徴や説明は一切ありません。蛇も、りんごも、天使も描かれていない。ただ、裸の男と女が並んでいる。その潔い構成が、かえって物語の本質を浮かび上がらせています。
博物館メンバーのための限定版画
Åke Holmは44年間にわたりHöganäs博物館の理事を務めました。このリトグラフは、博物館の年間メンバーシップのために制作された限定版画の一つです。269点もの版画を制作し、その売上は博物館の増築資金となりました。
Holmは訪問者を避け、観光客への販売を好みませんでした。時にはスウェーデン国王にさえ販売を断ったという逸話が残っています。この版画は、そうした作家の作品が博物館という場を通じて、理解ある支援者の手に渡っていった証でもあります。
技法: リトグラフ(多色刷り)
エディション: 114/250
サイズ: 33×26(cm)
サイン: 右下に「Å Holm」(鉛筆)
額装: 木製フレーム、マット付き
状態: Very Good 良い状態です。
軽い経年感やスレがありますが、全体の印象を損なうものではありません。
SKU: 20241013a12-1 カテゴリー: ALL ITEMS, Åke Holm, 絵・イラスト・ポスター, Åke Holm Litograf タグ: art
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。






