Lisa Larson Unique Piece
¥350,000
Lisa Larson(リサ・ラーソン)による、Väggplattor(壁掛け陶板)シリーズの「Venedig」——裏面に「prov」の刻印を持つ、量産前の釉薬テスト品です。
水の都を陶板に閉じ込めて
Venedigは、1963年にデザインされた建築モチーフの壁掛け陶板です。サン・マルコ大聖堂を思わせるビザンティン建築のファサードが、三段に分かれた構図の中に凝縮されています。上段のドーム、中段の尖頭アーチ、下段のゴシック・アーケード。リサは旅先で出会った建築の記憶を、細かな線刻とレリーフの層で再構成しました。動物フィギュアのイメージが強いリサの仕事の中で、この壁掛け陶板シリーズは、彼女のもう一つの顔——建築的な構成力と装飾への感性——を鮮やかに見せてくれる作品群です。
「prov」——釉薬研究室が残した一枚
本品の裏面には、赤い顔料で「prov」と記されています。スウェーデン語で「テスト」を意味するこの一語は、この陶板が量産ラインに乗る前に釉薬の色彩や発色を検証するために焼かれた試作品であることを直接的に示す、最も信頼性の高い証拠です。
量産品のVenedigシリーズは白いストーンウェアにレリーフを施し、手描きで彩色されたものですが、本品は量産品と比べて全体の色調が異なります。青のトーンがよりくすんだグレイッシュ・ブルーに傾き、金色のアーチ部分も量産品の鮮やかな発色とは異なるマスタード寄りの渋い色味を帯びています。窓部分のコバルトブルーの深さや、下段のアーケード周囲のオリーブがかったグリーンの滲みも、量産品には見られない特徴です。白い素地が露出した縁の処理も、量産品のような仕上げの精緻さとは趣が異なります。
こうした色彩の差異は、グスタフスベリの釉薬研究室(glasyrlabb)が量産に向けた最終的な釉薬レシピを決定する過程で、異なる配合や焼成条件を試した痕跡と考えられます。裏面には通常の量産品に見られる「GUSTAVSBERG」のスタンプやリサのサインがなく、「prov」の記載のみ。壁掛け用のワイヤーが取り付けられていることから、テスト後に工場関係者の手元に渡り、実際に飾られていた可能性もあります。
量産の世界に送り出される前の、色を探していた一枚。ヴェネツィアの光と影が、まだ定まらない色彩の中で揺らいでいます。
作家: Lisa Larson(1931–2024)
シリーズ: Väggplattor(壁掛け陶板)
作品名: Venedig(ヴェネツィア)
メーカー: Gustavsberg
制作年代: 1963年頃(量産開始前の試作品)
素材: 白色ストーンウェア、レリーフ、施釉・彩色
サイズ: 28×23 (cm)
コンディション: 良好(Very Good)
良い状態です。縁部分にわずかなチップが散見されますが、試作品としての性質を考慮すれば良好な状態です。裏面に赤い顔料で「prov」の記載があります。壁掛け用ワイヤーが取り付けられています。
※部屋に飾られている写真は、実際の作品写真をもとに生成AIで作成した展示イメージです。作品そのものの形状・質感・状態は、商品写真をご確認ください。
SKU: 20240517g6/113 カテゴリー: Glaze Variant, ALL ITEMS, Lisa Larson, 北欧の陶板 , Gustavsberg, Lisa Larson Unique Piece, Lisa Larson Prototype, All Uniquepiece Brand: Gustavsberg
在庫1個
Lisa Larson(1931–2024)
Swedish ceramist, Gustavsberg Studio 1954–1980.
Known for animal figurines and unique stoneware sculptures.
私たちが知っているリサ・ラーソンは、量産品のリサ・ラーソンです。
けれど製品になる前──手びねりの原型、試された色、
実現しなかった夢のかたちの中にこそ、
陶芸家としての素顔が眠っています。








