BÖRJE SKOHG Wall Plate
¥175,000
これは何でしょう。サインが示す横向きで眺めれば、それは無機質な鉄塊の集積に見えます。硬質な素材がぶつかり合い、重なり合う、構築的な抽象画です。
しかし、もしこの作品を縦にしてみたなら。そこには、二人の甲冑の騎士を思わせるフォルムが、闇の中から浮かび上がってきます。この二つの貌を持つ作品は、私たちに静かに問いかけているようです。鎧の中に個性を埋没させた兵士の姿とは、匿名性を与えられた、ただの鉄の塊と何が違うのか、と。
この問いかけは、作品の背面にまで及びます。サインは横向きが正規であることを示しながら、壁掛け用の穴は、縦に飾れるようにも作られているのです。
もしかしたらそれは、作家の「仕掛け」というより、もっと静かな「祈り」のようなものだったのかもしれません。匿名性という鉄塊の中に沈んでしまった、かつてそこにあったはずの個別の存在。それに気づき、再び光の中へと引き上げてくれる鑑賞者がいるかもしれない、というささやかな願い。
縦に飾るという選択肢は、その願いを託すために残された、作り手と受け手の間に結ばれる静かな約束事のようです。
ヒビや欠けもなく良好なコンディションです。
21×44(cm)
在庫1個
Börje Skohg (1923-2006)
グスタフスベリに在籍し、師ヴィルヘルム・コーゲから受け継いだ銀彩技法を独自に発展させた陶芸家。一点ものの作品制作にこだわり続けたため、その名は広く知られていません。ゆえに、残された作品は極めて希少なアートピースとして、静かな輝きを放っています。