BÖRJE SKOHG Wall Plate
¥90,000
主に風景画を手掛けていた晩年、1983年に制作された作品です。モチーフは、スコーグがキャリアを通して描いてきた「馬に乗る騎士」。しかし、かつての作品に見られたような力強さや勇猛な姿は、ここでは繊細なきらめきの中へと静かに溶けていきます。
細やかな線描と色彩がモザイク画のように響き合う画面では、騎士や馬も、背景の植物や光の粒子と等価な存在として描かれています。英雄としての物語や象徴的な意味合いは削ぎ落とされ、ただ「そこに在る」ひとつの生命としての姿が浮かび上がるのです。
おそらく晩年のスコーグにとって、騎士はもはや特別な主題ではなく、彼が愛した自然風景を構成する穏やかな一要素だったのでしょう。すべてのものが等しく輝き、互いに調和する世界。長い創作活動の果てに作家が辿り着いた、静謐で達観した眼差しがこの小さな画面に凝縮されています。
歴史や物語から解放された騎士の姿は、私たちに新しい視点を提示します。それは、あらゆる存在がただの生命として輝く、画家の心象風景そのものなのかもしれません。
ヒビや欠けもなく良好なコンディションです。
1983
22.5×22.5 (cm)
在庫1個
Börje Skohg (1923-2006)
グスタフスベリに在籍し、師ヴィルヘルム・コーゲから受け継いだ銀彩技法を独自に発展させた陶芸家。一点ものの作品制作にこだわり続けたため、その名は広く知られていません。ゆえに、残された作品は極めて希少なアートピースとして、静かな輝きを放っています。