Åke Holm “Litografi 70”
¥32,000
深い藍色の闘に浮かぶ二つの人物。立ち上がる大きな影と、その足元にうずくまる小さな姿。陶芸家Åke Holmが版画で描いた、聖書の中でも最も緊迫した場面の一つです。
犠牲の瞬間を描く
この作品は、旧約聖書の「イサクの燔祭(はんさい)」(創世記22章)を描いていると考えられます。
神はアブラハムに、愛する一人息子イサクを犠牲として捧げるよう命じます。アブラハムは苦悩しながらも神の言葉に従い、モリヤの山へと向かいます。薪を背負わされたイサクは、犠牲の羊がいないことを父に尋ねますが、アブラハムは「神が備えてくださる」とだけ答えます。
画面上部に立つ大きな人物がアブラハム。長い髭を蓄え、どこか遠くを、あるいは天を仰ぐように顔を上げています。その右手には、細長い刃物—おそらく犠牲に用いるナイフが握られています。
画面下部で膝を抱えるようにうずくまっているのがイサク。父の影に包まれるように、小さく身を縮めています。その姿勢からは、これから何が起こるのか分かっていないのか、あるいは父を信じて身を委ねているのか、様々な解釈が浮かびます。
光と闘のコントラスト
背景は深い藍色と、クリームから淡い青緑へと変化するグラデーションで構成されています。人物たちは光の中に浮かび上がるシルエットとして描かれ、その輪郭線だけで物語が語られます。
Holmは聖書を信仰のためではなく、「興味深い題材」として描きました。聖書の記述を忠実に再現するのではなく、物語の中の出来事に想像力を働かせる。この作品でも、神学的な解釈よりも、父と子という普遍的な関係、信仰と愛の葛藤という人間ドラマとしての側面が強調されています。
顔の表情は極度に単純化され、目と髭だけで人物が表現されています。それでも、立ち尽くすアブラハムの苦悩、うずくまるイサクの無垢さが、この最小限の造形から伝わってきます。
博物館メンバーのための限定版画
Åke Holmは44年間にわたりHöganäs博物館の理事を務めました。このリトグラフは、博物館の年間メンバーシップのために制作された限定版画の一つです。269点もの版画を制作し、その売上は博物館の増築資金となりました。
Holmは訪問者を避け、観光客への販売を好みませんでした。時にはスウェーデン国王にさえ販売を断ったという逸話が残っています。この版画は、そうした作家の作品が博物館という場を通じて、理解ある支援者の手に渡っていった証でもあります。
技法: リトグラフ(多色刷り)
エディション: 195/375
サイズ: 30.5×23(cm)
サイン: 右下に「Å Holm」(鉛筆)
額装:ガラスフレーム、マット付き
状態:Very Good 良い状態です。軽い経年感やスレがありますが、全体の印象を損なうものではありません。
SKU: 20241016a4 カテゴリー: ALL ITEMS, Åke Holm, 絵・イラスト・ポスター, Åke Holm Litograf タグ: art
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。






