Åke Holm “EUROPA OCH TJUREN”
¥400,000
Åke Holm(オーケ・ホルム)の作品群において、彼が時折試みた異色の主題、すなわちギリシャ神話を描いた貴重なセラミック板です 。
彼の制作の核が旧約聖書の物語にあることは広く知られていますが、本作で描かれているのは、「エウロパと雄牛」であると考えられます。神ゼウスが美しい雄牛に姿を変え、王女エウロパをその背に乗せて海を渡るという神話の一場面が、ホルム独自の解釈で表現されています。
暗い炻器(stengods)釉の地色を背景に、象牙色の白釉を用いて雄牛のシルエットが力強く、しかし軽やかに描かれています。その背に乗るエウロパの姿は、鮮やかなコバルトブルーで彩られ、画面全体を引き締めるアクセントとなっています。左上方に描かれた鳥のモチーフも、彼の大皿作品などにしばしば見られる要素です。
この大胆なデフォルメと流れるような筆致には、彼が同時代のモダンアート、特にPablo Picasso(パブロ・ピカソ)の陶芸作品からも強い関心と影響を受けていたことが明確に表れています。聖書を主題とする重厚な彫刻群とは対照的に、ここではホルムの持つ絵画的でモダンな感性が遺憾なく発揮されています。
この作品は、彼がHöganäsbolaget(ヘーガネス社)の一部であったSkrombergaverken(スクロンベルガヴェルケン)から入手した、耐火性のセラミック板を用いて制作されたものの一つです 。資料によれば、これらの板は元々テーブルの天板として注文制作されていました。しかし、焼成時に生じた僅かな反りや歪みによってテーブルには使用できなくなったものが、本作のように裏面に吊り下げ金具を取り付けられた「壁掛けの飾り皿」として販売されたと記されています。
アーケ・ホルムの彫刻家としての一面とは異なる、画家としての側面と、国際的な芸術思潮を独自に昇華させたスタイルを堪能できる、示唆に富んだ作品です。
ヒビや欠けもなく良いコンディションです。
43×38 (cm)
1950s
オーケ・ホルムの作品を年代順に把握することはかなり難しいです。
彼の作品は日付けがつけられておらず、彼自身も制作年代について具体的なことを語るのを避けるためです。
シリーズごとにおおよその年代は分かりますが、後年に過去の手法を用いて作ることもあるため、特定は困難です。
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。


