Åke Holm “Fågel”
¥150,000
Åke Holm(オーケ・ホルム)が1940年代から1960年代にかけて精力的に取り組んだ、大皿(Fat)の連作に連なる一品です 。彼の作品群において、聖書を主題とした重厚な彫刻と並び、これらの大皿は彼の絵画的な側面とモダンな造形感覚を伝える重要なカテゴリーを形成しています 。
作品の中央には、ホルムが好んで用いたモチーフの一つである「鳥」が、大胆かつ生命力に満ちた筆致で描かれています 。縁を彩るリズミカルな文様は、この中心的なモチーフを引き立てると同時に、作品全体に独特の装飾性を与えています。
ホルムは轆轤(ろくろ)を挽くことを必ずしも得意とせず、これらの大皿の多くは、タタラに伸ばした粘土板をドーム状の石膏型にかぶせるという独自の手法で成形されました 。そのため、本作に見られるような微妙な楕円形や縁のゆらぎは意図的なものであり、均整の取れた工業製品とは対極にある、土の温かみと手仕事の痕跡を色濃く残しています 。彼は故郷ヘーガネス(Höganäs)のルールファブリーケン(Rörfabriken)で産出される、シャモット(chamotte)を混ぜた粘土を好んで用いました 。
特筆すべきは、その装飾技法と芸術的な位置づけです。装飾は多くの場合、素焼きをせず乾いた粘土の素地に直接、暗色の下地釉と象牙色の釉薬、そして輪郭線を際立たせるコバルトブルーを用いて描かれました 。この力強く自由な線描には、当時のヨーロッパにおけるモダニズムの潮流、とりわけ南仏ヴァロリス(Vallauris)で陶芸制作に取り組んでいたパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の作品との強い親近性が指摘されています 。
実際、1980年の新聞『スヴェンスカ・ダーグブラーデット(Svenska Dagbladet)』紙上で、批評家のオーケ・リヴステット(Åke Livstedt)は、ホルムのこれらの大皿を「ヴァロリスで制作されたピカソの作品に最も近い」と絶賛しました 。また、ヘンリー・スヴェンソン(Henry Svensson)も「スウェーデン陶芸界で最もユニーク」と評しており、これらの作品群が当時からいかに革新的なものであったかがうかがえます 。
聖書の厳粛な世界を探求した彫刻家としての顔とは別に、本作は、動物や自然に向けられたホルムの温かな眼差しと、国際的な視野を持ったモダンな芸術家としての一面を雄弁に物語る、貴重な作品と言えるでしょう。
ヒビや欠けもなく良いコンディションです。
28×28 h3.5 (cm)
1940s
オーケ・ホルムの作品を年代順に把握することはかなり難しいです。
彼の作品は日付けがつけられておらず、彼自身も制作年代について具体的なことを語るのを避けるためです。
シリーズごとにおおよその年代は分かりますが、後年に過去の手法を用いて作ることもあるため、特定は困難です。
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。




