Åke Holm “Fjäril”
¥150,000
Åke Holm(オーケ・ホルム)による装飾大皿です 。彼の制作の中心は聖書を主題とした重厚な彫刻にありますが、こうした大皿作品は、彼のもう一つの側面である卓越した絵画的才能と、モダンな造形感覚を明確に示しています 。
作品の表面いっぱいに、大胆かつ力強い筆致で描かれているのは一匹の蝶です。アーケ・ホルムのモチーフは聖書の物語が中心ですが、資料によれば、大皿や鉢においては「動物の世界からは鳥、魚、蝶」も登場しており、本作はその貴重な一例となります。蝶の羽は皿の円形を生かすように大きく広げられ、その模様は抽象的なパターンとして見事にデザインされています。
彼の拠点であったHöganäs(ヘーガネス)の、ルールファブリーケン(Rörfabriken)で産出されるシャモット(chamotte)を混ぜた粘土を用い、ろくろをあまり好まなかったホルム独自の技法、すなわちタタラに伸ばした粘土をドーム状の石膏型にかぶせて成形されています。
この大皿の装飾技法は、彼の典型的なスタイルを反映しています。素焼きを行わず、乾いた粘土の上に直接、暗い下地釉を施し、その上に象牙色やコバルトブルーを思わせる釉薬を用いて「大胆で、水気を含んだ筆遣い」 で描かれています。この作品に見られる、背景の深い黒と蝶の羽の色彩との鮮やかな対比、そして釉薬の濃淡が生み出す力強い線描は、まさにその特徴を物語っています。
このモダンで表現力豊かなスタイルは、彼が影響を受けた同時代の芸術家、特にフランスのヴァロリス(Vallauris)で陶芸制作を行ったPablo Picasso(パブロ・ピカソ)の作品とも響き合うものです。実際、当時の新聞評では、ホルムの動物モチーフの大皿が「ピカソだ!」と評されるほど、その生き生きとした造形感覚は高く評価されていました。
彫刻作品が内省的な信仰の深さを示す一方で、この大皿は、土というキャンバスに描かれた、生命感あふれるホルムの芸術的自由と造形的な喜びを感じさせてくれる逸品です。
ヒビや欠けもなく良好なコンディションです。
27.5×26.5 h4 (cm)
1950s
オーケ・ホルムの作品を年代順に把握することはかなり難しいです。
彼の作品は日付けがつけられておらず、彼自身も制作年代について具体的なことを語るのを避けるためです。
シリーズごとにおおよその年代は分かりますが、後年に過去の手法を用いて作ることもあるため、特定は困難です。
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。



