Åke Holm “Litografi “
¥34,000
オーケ・ホルム(Åke Holm)が晩年に情熱を注いだ、リノリウム版画シリーズの一点です。力強い線描で捉えられた二人の人物が、緩やかに続く坂道で腰を下ろし、語り合う姿が描かれています。等間隔に並ぶ並木と遠くの丘陵地帯が、物語性を感じさせる空間を構成し、黒の諧調が静謐ながらも深い印象を与えます。
ホルムの創作活動の核心には、常に聖書、特に旧約聖書の物語がありました 。この版画が特定の場面を描いたものでなくとも、例えば「エマオの途上のキリスト」のように、旅路における対話や、預言者たちが休息し言葉を交わす静かな瞬間を想起させます。ホルムは聖書の物語を、人間の内面や信仰、苦悩といった普遍的なテーマを探求するための「共通言語」として用いており 、この作品にもその創作姿勢が静かに息づいています。
特筆すべきは、この版画が一般の市場向けに制作されたものではないという点です。ホルムは、自身が44年もの長きにわたり理事として尽力した故郷のHöganäs(ヘーガネス)博物館を支援するため、1966年から亡くなる1980年まで、年間パス購入者への特典として版画を制作し続けました 。この取り組みは驚異的な成功を収め、その収益は博物館の増築資金にも充てられたと記録されています 。本作は、その期間に制作された269種類にも及ぶデザインの一つであり 、市場で出会う機会は極めて限られています。
ダメージもなく良好なコンディションです。
25.5×31.5(cm)
1966-80
SKU: 20241015a2 カテゴリー: ALL ITEMS, Åke Holm, 絵・イラスト・ポスター, Åke Holm Litograf タグ: art
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました