Åke Holm “Litografi 49”
¥32,000
オーケ・ホルム(Åke Holm)が晩年に手掛けたリノリウム版画です。力強い線描で描かれているのは、厳かな雰囲気のなかで言葉を交わす四人の人物です。中央に立つ男性は、両手を広げ、何かを説き、あるいは祝福を与えているかのような荘厳な姿を見せています。その左手には、従者のように少年が静かに佇んでいます。右手では、座した男性に一人の女性が親密に寄り添い、二人で中央の男性の言葉に聞き入っています。
ホルムの創作の源泉は、一貫して旧約聖書にありました。この構図は、族長が家族や民を前に重要な神託や教えを伝える、旧約聖書における象徴的な場面を想起させます。例えば、ヤコブが息子たちに最後の祝福を与える場面や、モーセが民衆を導く姿など、父権的な権威と、それに従う共同体の姿が重なります。ホルムはこうした物語を通じ、信仰、家族の絆、そして世代の継承といった普遍的なテーマを描き出しました。
この版画が極めて希少である理由は、その制作背景にあります。これは一般販売を目的としたものではなく、ホルムが理事として44年もの長きにわたり情熱を注いだ故郷のHöganäs(ヘーガネス)博物館の年間パス購入者への特典として、1966年から1980年にかけて制作された269種類のうちの一つなのです。この取り組みは博物館の運営を支える重要な資金源ともなりました。
彼の代名詞である重厚な彫刻作品とは異なる画家の側面と、地域文化への深い貢献という物語が宿る、特別な一枚です。
ダメージもなく良好なコンディションです。
36×26(cm)
131/250
1966-80
SKU: 20241013a6 カテゴリー: ALL ITEMS, Åke Holm, 絵・イラスト・ポスター, Åke Holm Litograf タグ: art
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。