Åke Holm “Litografi 62”
¥32,000
岩山の上で律法の石板を高く掲げる人物と、その足元で踊り狂う群衆。
「金の子牛」
モーセがシナイ山で神から十戒を授かっている間、麓に残されたイスラエルの民は待ちきれなくなりました。彼らは金の装飾品を集めて子牛の像を鋳造し、その周りで踊り、祝いました。山から降りてきたモーセがこの光景を目にしたとき、怒りのあまり手にしていた石板を投げつけて砕いた——そのまさに直前の瞬間が、ここに描かれています。
画面左上の岩山に立つ人物は、両腕を高く上げて石板を掲げています。Holmの陶芸作品でも、モーセは「律法の石板を掲げる」あるいは「踏みつける」姿で繰り返し表現されてきました。このリトグラフでは、掲げた石板を今まさに叩きつけようとする、その緊張の一瞬が捉えられています。
群衆の熱狂、静かな怒り
画面下部を埋め尽くす群衆の描写が印象的です。一人ひとりの顔は見えませんが、腕を振り上げ、身をよじらせ、踊り狂う様子が無数のシルエットで表現されています。中央やや左には台座に乗った金の子牛の像も見えます。
対照的に、モーセは一人、高い岩の上に静かに立っています。群衆の喧騒と、孤高の指導者の沈黙。その対比が、この場面の劇的な緊張感を生み出しています。
Holmは聖書を信仰からではなく「興味深い題材」として描きました。教えを伝えるのではなく、物語の中の人間たちを見つめる。この作品でも、裏切られた指導者と、迷える民衆という、人間ドラマとしての聖書の一面が浮かび上がります。
青緑のグラデーションとシルエット
背景の空は、上部から下部にかけて青緑色のグラデーションで染められています。黒いシルエットとのコントラストが鮮やかです。横に流れる雲が、空の広がりと静けさを感じさせます。
Holmのリトグラフに共通する特徴として、人物を黒いシルエットで表現し、細部よりも全体の構図と色彩で物語を語るという手法があります。この作品でも、写実的な描写を避けることで、かえって場面の本質——怒り、裏切り、孤独——が強く伝わってきます。
博物館メンバーのための限定版画
Åke Holmは44年間にわたりHöganäs博物館の理事を務めました。このリトグラフは、博物館の年間メンバーシップのために制作された限定版画の一つです。269点もの版画を制作し、その売上は博物館の増築資金となりました。
Holmは訪問者を避け、観光客への販売を好みませんでした。時にはスウェーデン国王にさえ販売を断ったという逸話が残っています。この版画は、そうした作家の作品が博物館という場を通じて、理解ある支援者の手に渡っていった証でもあります。
技法: リトグラフ(多色刷り)
エディション: 100/250
サイズ: 34.5×27.5 (cm)
サイン: 右下に「Å Holm」(鉛筆)
額装: 木製フレーム、マット付き
状態: Very Good 良い状態です。
軽い経年感やスレがありますが、全体の印象を損なうものではありません。
SKU: 20241013a9 カテゴリー: ALL ITEMS, Åke Holm, 絵・イラスト・ポスター, Åke Holm Litograf タグ: art
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。






