Åke Holm “Litografi 77”
¥32,000
夕暮れのグラデーションの中、寄り添い歩く二つのシルエット。陶芸家として知られるÅke Holmが版画で描いた、静謐な聖書の一場面です。
聖書を「物語」として描く
Åke Holmは聖書をモチーフとした作品を数多く手がけました。ただし彼のアプローチは、信仰を伝えるための宗教画とは異なります。聖書の記述を忠実に再現するのではなく、その物語の中で起こる出来事に想像力を働かせる。Holmにとって聖書は、興味深い題材の宝庫でした。
この作品は「エマオへの道」(ルカによる福音書24章)を描いていると思われます。イエスの十字架刑の後、エルサレムからエマオという村へ向かう二人の弟子。その道中に一人の旅人が加わり、共に歩きながら聖書について語り合います。弟子たちは気づいていませんが、その旅人こそ復活したイエスでした。
Holmはこの場面を、黒いシルエットだけで表現しています。顔も衣服も見えない。けれども肩を寄せ合い、深い会話を交わしながら歩いているのだということが、その輪郭から伝わってきます。「まだ気づいていない」という物語の核心が、顔の見えないシルエットという表現と響き合っています。
夕暮れの空、様式化された木々
背景の空が印象的です。上部のクリーム色から下部の青緑へ、穏やかなグラデーション。聖書では、弟子たちがイエスを自宅に招いたのは「日も暮れかけていた」からでした。その夕暮れの光が、この色彩に込められているのかもしれません。
木々は花のような、あるいは車輪のような形に様式化されています。写実ではなく、どこか童話の挿絵を思わせる素朴な造形。Holmの陶芸作品にも通じる、特徴的なものだけを捉える眼差しです。
博物館メンバーのための限定版画
Åke Holmは44年間にわたりHöganäs博物館の理事を務め、博物館の重要な支援者でした。このリトグラフは、博物館の年間メンバーシップのために制作された限定版画の一つです。メンバーでなければ手に入れることができませんでした。
Holmは訪問者を避け、観光客への販売を好みませんでした。時にはスウェーデン国王にさえ販売を断ったという逸話が残っています。そのような作家の作品が、博物館という場を通じて、理解ある支援者の手に渡っていった。この版画には、そうした経緯も刻まれています。
技法: リトグラフ(多色刷り)
エディション: 227/250
サイン: 右下に「Å Holm」(鉛筆)
額装: 木製フレーム、マット付き
状態:Very Good 良い状態です。軽い経年感やスレがありますが、全体の印象を損なうものではありません。
SKU: 20251213a1 カテゴリー: ALL ITEMS, Åke Holm, 絵・イラスト・ポスター, Åke Holm Litograf タグ: art
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。




