Åke Holm “Fjäril” 31.5cm
¥250,000
Åke Holm(オーケ・ホルム)による鉢(Skål)です。彼の作品群の中核を成す聖書を主題とした重厚な彫刻とは趣を異にし、古典的な器形の中に、彼が持つ釉薬と炎に対する深い造詣が凝縮されています。
作品の表面を覆うのは、一色では言い表せない複雑な表情を持つ釉薬です。これは、オーケが好んだ、異なる成分の釉薬を筆で何層にも重ねる技法によって生み出されています。茶色やベージュの鉄釉を基調としながら、所々に見られる緑がかった色合いや焦げのような黒い斑点は、彼が1940年代から1969年の閉鎖まで愛用したHöganäs(ヘーガネス)社のルールファブリーケン(Rörfabriken)の石炭窯で焼成されたことを示唆しています。彼は、炎が作品に直接触れることで生まれる、こうした予測不能で生き生きとした炻器(stengods)の肌合いを何よりも尊びました。
鉢の内側に目を転じると、鮮やかなコバルト釉によって一匹の蝶が大胆な筆致で描かれています。オーケ・ホルムのモチーフは聖書の物語が中心ですが、大皿や鉢においては、鳥や魚と並んで蝶も描かれることがありました。
オーケはキャリアの初期において、ろくろ技術を弟のアッテに頼っていましたが、後に自ら習得します。本作のようなろくろ成形の鉢は、彼が彫刻家としてだけでなく、優れた陶工(ポッター)でもあったことを証明しています。特に1950年代から1960年代にかけての円熟期には、本作のように、器形そのものと釉薬の調和を追求した作品も手掛けています。
底面には、1930年代後半以降に用いられた「ÅKE Holm」という力強い刻銘が確認できます 。彫刻作品に見られる厳粛さとは異なる、穏やかで日常に寄り添う器でありながら、その釉薬の深みには、オーケ・ホルムの紛れもない芸術性が宿っています。
釉薬のかけ漏れはありますが、良いコンディションです。
φ31.5 h15 (cm)
1950s
オーケ・ホルムの作品を年代順に把握することはかなり難しいです。
彼の作品は日付けがつけられておらず、彼自身も制作年代について具体的なことを語るのを避けるためです。
シリーズごとにおおよその年代は分かりますが、後年に過去の手法を用いて作ることもあるため、特定は困難です。
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。







