Åke Holm Wall Plate 43cm
¥400,000
本作はÅke Holm(オーケ・ホルム)による壁掛けの飾り皿です。描かれているのは、彼がそのキャリアを通じて繰り返し探求した重要なモチーフ、「漁師の家族(Fiskarfamilj)」です。重厚なマット釉を背景に、簡潔ながらも力強い線描で男女の姿が描かれており、ホルムの芸術が最も充実した1950年代以降の作風を色濃く反映しています。
ホルムにとって漁師というテーマは、単なる労働の描写にとどまらず、人間の根源的な営みや信仰の象徴であり、聖書に登場する使徒ペテロを想起させるなど、彼の作品世界の中核をなすものでした。素材には、焼成した粘土の粒を混ぜ込んだシャモット(chamotte)入りの土が用いられ、そのざらついた質感が、作品全体に素朴で地に足のついた力強さを与えています。この壁掛け飾り皿という形式は、ホルムが持つ彫刻家としての立体的な造形力と、彼が生涯描き続けた素描家としての一面が見事に融合した分野です。
この作品には、彼の創作姿勢を物語るユニークな背景があります。このセラミック板は、元々テーブルの天板として考案されたものでした。しかし、焼成の過程で僅かな歪みが生じたものに、ホルムは壁を飾る芸術作品としての新たな命を吹き込んだのです。実用的な目的から生まれ、窯の炎の中で芸術へと昇華したという物語は、この作品が持つ固有の魅力と言えるでしょう。
故郷ヘーガネス(Höganäs)の土と共に生き、人間の普遍的な物語を真摯に紡ぎ続けたアーケ・ホルムの詩学を静かに物語る、深みのある一品です。
ヒビや欠けもなく良好なコンディションです。
43×38 T1.5 (cm)
オーケ・ホルムの作品を年代順に把握することはかなり難しいです。
彼の作品は日付けがつけられておらず、彼自身も制作年代について具体的なことを語るのを避けるためです。
シリーズごとにおおよその年代は分かりますが、後年に過去の手法を用いて作ることもあるため、特定は困難です。
在庫1個
Åke Holm (1900-1980)
スウェーデンの陶芸家で彫刻家。彼はHöganäsbolagetでの職を経て、自身の工房を1928年に開設しました。当初は不況を切り抜けるために土産物を作っていましたが、次第に芸術的な聖書の人物像や磁器の動物フィギュアを制作し始めました。彼の作品は1950年代から60年代にかけて聖書のモチーフが主流となり、そのスタイルは抽象的で洗練されたものに進化しました。世界的な名声は高まっていきましたが、彼は故郷Höganäsに留まることを選び、その作品の多くは地元Höganäs museumに寄贈されました。