BÖRJE SKOHG Wall Plate
¥90,000
この作品のモチーフが蜘蛛(クモ)であると知ったとき、多くの人が抱くであろう一般的な印象と、作品が放つ静かな美しさとの間にある隔たりに気づかされます。ここに描かれているのは、決して不気味な存在ではありません。
画面を縦横に走る黒い線は、蜘蛛の脚の構造的な力強さを思わせ、中心部で混ざり合う複雑な釉薬の表情は、生命の営みの深淵を覗き込むようです。私たちはなぜ、このモチーフに恐怖ではなく、一種の造形的な魅力を感じるのでしょうか。
おそらくそれは、単に表現が抽象的であるからだけでなく、対象を見つめる作家の眼差しそのものが、作品に投影されているからでしょう。スコーグは蜘蛛を、その形態が持つ機能的な美しさや、過酷な環境を生き抜く生命の象徴として捉えたのかもしれません。
暗色の世界に落とされた一点の淡い色彩は、その強さの中に宿る微かな温かみを暗示するようです。作家の手にかかれば、日常的な生き物でさえ、思索を促す静謐なアートピースとして生まれ変わる。その好例と言える作品です。
裏面に小さなダメージ箇所があります
1976
22.5×22.5(cm)
在庫1個
Börje Skohg (1923-2006)
グスタフスベリに在籍し、師ヴィルヘルム・コーゲから受け継いだ銀彩技法を独自に発展させた陶芸家。一点ものの作品制作にこだわり続けたため、その名は広く知られていません。ゆえに、残された作品は極めて希少なアートピースとして、静かな輝きを放っています。