SOLD OUT!
これは一本の木なのでしょうか。太い幹から上部へと、まるで爆ぜるかのように広がる黒い塊。その姿は、見る者に様々なイメージを喚起させます。
もくもくと湧き上がるようなフォルムと、飛び散る飛沫(しぶき)。この猛烈なエネルギーは、たとえば、北欧の短い夏に一斉に葉を茂らせる木々の姿を思わせます。長い冬の眠りから覚め、生命のすべてを謳歌するかのような、あの圧倒的な季節の営み。
スコーグが捉えようとしたのは、一本の木という静的なオブジェクトではなく、その内に秘められた動的なエネルギーそのものなのかもしれません。それは、特定の形を描くのではなく、生命力が頂点に達する「瞬間」の気配を写し取った、心象の風景です。
具象と抽象の境界を揺らぎながら、私たちの記憶にある原風景に触れてくる。作家が目撃したのは、北欧の自然が持つ、凝縮された季節の力そのものだったのでしょう。
ヒビや欠けもなく良好なコンディションです。
22.5×22.5 (cm)
Börje Skohg (1923-2006)
グスタフスベリに在籍し、師ヴィルヘルム・コーゲから受け継いだ銀彩技法を独自に発展させた陶芸家。一点ものの作品制作にこだわり続けたため、その名は広く知られていません。ゆえに、残された作品は極めて希少なアートピースとして、静かな輝きを放っています。