Inger Persson Vase
¥55,000
深い青が垂直にかかる上部と、釉薬のかからない下部。Inger Perssonは、青を塗るのではなく「置く」。色の配置によって、器の構成そのものを導いています。
上部には光沢のある青釉が厚くかかり、なめらかな面に深い色が沈みます。しかしよく見ると、その下にも斜線状の模様が刻まれており、釉の奥からうっすらと浮かび上がっています。下部と同じ模様が、素材の違いによってまったく異なる印象を持ち始める──その視覚的な対比が、静かな緊張を生んでいます。
釉のかかった面では線が沈み、釉のない面では線が立ち上がる。色と線、光沢と素地。それぞれの重なりが、器全体の構造を裏から支えています。
Perssonは、青を目立たせるために模様を使っているのではなく、模様を見せるために青を引いているのでもない。その重なり方自体が、かたちを成り立たせるための要素として組み込まれています。
絵付けではなく、構成としての色──静かな判断の積み重ねが、この小さな器に深みを与えています。
ヒビや欠けもなく良いコンディションです。
φ11.5 H15(cm)
SKU: 20210618r3/セ カテゴリー: ALL ITEMS, Inger Persson, 北欧の花器, 青の釉薬 タグ: art
在庫1個
Inger Persson(1936-2021)
温かなユーモアと巧みなろくろ技術を兼ね備えたスウェーデンの陶芸家です。フクロウや鳥などを抽象的に表現し、深い青を軸とする鮮やかな釉薬使いで知られます。粗めのシャモット土や手彫り模様を生かし、伝統に遊び心を加えた作品は国内外で高く評価されました。動物造形のユーモラスな魅力と色彩の豊かさが、多くの人々を引きつけ続けています。