Lisa Larson Unique Piece
¥900,000
Lisa Larson(リサ・ラーソン)による、壁掛け陶板《Skepp(ヴァイキング船)》——背面に「PROV」の刻印が残る、試作品です。
量産されなかった、もうひとつのヴァイキング船
リサ・ラーソンのヴァイキング船の壁掛けといえば、四角い陶板に船を収めたデザインがよく知られています。あちらは長く量産され、今も比較的手に入ります。
この一枚は、それとはまったく別のものです。
陶板自体が船のかたちをしています。竜頭も舳先も波も、四角い枠には収まらず、そのまま輪郭になっている。おそらくこちらが先にデザインされ、量産を試みたものの、複雑な形状が焼成や型作りの壁になり、ごく少数しか作られなかった。リサがデザインしたピッピ・ロングストッキングのフィギュアも、細い足が窯の中で折れてしまい量産を断念していますが、それと同じ事情でしょう。結果として、同じモチーフを四角い枠に再構成したバージョンが量産品として世に出ました。
この船形の量産品自体、めったに見かけません。そしてこの「PROV」——その量産品よりもさらに前の段階、試作品です。
「PROV」が意味すること
背面に刻まれた「PROV」はスウェーデン語で「試験」。グスタフスベリの工房で、量産化の可否を検討するために焼かれた一枚であることを示しています。工場のスタンプもラベルもありません。売るために作られたものではなく、工房の中だけで使われるはずだったものです。
ただし、この一枚を見ると「試作品」という言葉のイメージとはだいぶ違うことに気づきます。
厚みは約15ミリ。量産品の倍以上あり、手に持つとしっかりとした重さがあります。石膏型は使わず、手で直接成形されていて、背面には指の跡がそのまま残っています。表の絵付けは、量産品の均一な仕上がりとは別次元です。帆の青は一筆ごとに濃さが違い、釉薬が溜まったところは深い群青から黒、琥珀色へと変わっています。ヴァイキングたちの表情にも一体ずつ筆の勢いの違いがあり、盾には釉がぽってりと厚く乗っている。量産では必ず均されてしまうこうした「ムラ」が、この一枚ではそのまま表現の力になっています。
これは技術的なテストではなく、リサがこのモチーフに向き合って、全力で一枚を仕上げた結果だと思います。「PROV」の刻印は工房の手続き上の印ですが、作品としての完成度は、試作品というよりも一点もののアート作品に近い。むしろ量産品のほうが、この原型から多くのものを削ぎ落として成立しているのだということが、並べてみるとよくわかります。
他にこの船形Skeppの試作品は確認できていません。元になったはずのさらに前の段階の原型も、見つかっていません。確認できる限り、これが最初の一枚です。
作家: Lisa Larson(1931–2024)
作品名: Skepp(ヴァイキング船)壁掛け陶板 PROV(試作品)
メーカー: Gustavsberg Porslinsfabrik(グスタフスベリ磁器工場)
制作年代: 推定1961年頃
帰属: ユニーク作品の性格を持つ試作品
希少性: ほぼ唯一——「PROV」刻印入りの船形Skeppは他に確認例なし
素材: ストーンウェア、手成形、施釉・手描き装飾
サイズ: 約23.5 × 22 × 厚み約1.5 cm
コンディション: 美品(Excellent)
ヒビ・欠けはありません。極めて良好な状態です。縁部の釉薬が薄い部分や素地が覗いている箇所は、手成形・手描きによる本作品本来の特性であり、損傷ではありません。
SKU: 20240517g5/112 カテゴリー: ALL ITEMS, Lisa Larson, 北欧の陶板 , Lisa Larson Unique Piece, Lisa Larson Prototyp, All Uniquepiece
在庫1個
Lisa Larson(1931–2024)
“猫のマイキー”で知られるリサ・ラーソン──けれど世界では、自由な造形で評価されたスウェーデンを代表する陶芸家として語られています。






