Lisa Larson Unique Piece
¥750,000
Lisa Larson(リサ・ラーソン)の陶板、《Viking(ヴァイキング)》の試作品です。
この《Viking》陶板は、量産品が完成する以前、グスタフスベリ工房内で制作された初期試作品とみられます。最も顕著なのは、その“ごつさ”。板は波打つように歪み、厚みも均一ではなく、縁には指で押し広げた痕跡が残ります。量産品の滑らかな面とは対照的に、土の塊から直接形を起こしたような迫力があり、焼成による収縮や釉薬の流れがそのまま造形の一部になっています。帆や波の線には筆の勢いが残り、青釉は濃淡を帯びて滞留し、黒や琥珀色へと変化しています。
背面には「PROV(試作)」の刻印。これは、工房内でデザインが一定の承認を得てから、量産化に向けた原型と釉薬の両方を検証する段階で使われる印と考えられます。ただし本作は、量産直前の成形試作にしては明らかに分厚く、鋳込み型の均一性も見られません。つまり、まだ鋳込み用石膏型の量産設計に入る前の、“原型焼成”と“釉薬反応の確認”を兼ねた中間段階と位置づけるのが妥当でしょう。工房印が省かれ、裏面の仕上げも粗いことは、外販を想定していない内部試験用であったことを裏づけます。
この段階の作品には、設計と素材のせめぎ合いがそのまま残ります。量産品では土の厚みを薄く均質化し、釉薬の流れを抑えて安定した再現性を確保しますが、本作ではそれ以前の“素材の自由”がまだ許されています。リサ・ラーソンがデザインの線を確かめながら、陶という生きた素材にどう命を与えるかを探っていた、その実験の呼吸が感じられます。
量産品が静謐な完成形を示すとすれば、この試作品はその直前、
“構想がまだ手の中にある”瞬間の記録。
工業製品へ移る直前の陶芸的衝動、アトリエの時間をそのまま閉じ込めた一枚です。
ヒビや欠けもなく非常に良いコンディションです。
23.5×22 T1.5 (cm)
SKU: 20240517g5/112 カテゴリー: ALL ITEMS, Lisa Larson, 北欧の陶板 , Lisa Larson Unique Piece, Lisa Larson Prototyp タグ: art
在庫1個
Lisa Larson(1931–2024)
“猫のマイキー”で知られるリサ・ラーソン──けれど世界では、自由な造形で評価されたスウェーデンを代表する陶芸家として語られています。






