Stig Lindberg Häst
¥1,200,000
矩形に近い胴体から、長く垂れた首と尾が伸びる。まるで絵の線をそのまま立体に起こしたような、ユーモラスで異形の馬の陶板です。緑釉の下にびっしりと刻まれた文様は、光の当たり方によって深みを増し、単純な造形に複雑な陰影を与えています。
一見すると馬のプロポーションからは大きく外れているように見えますが、確かに「馬」として成立している。その絶妙なバランスは、スティグ・リンドベリ独自のデフォルメ感覚を示すものです。写実から離れ、陶という素材で形の自由さを探った実験的な試みであり、装飾とフォルムを一体化させる挑戦でもありました。
この作品は、2006年にグスタフスベリ陶磁器博物館(Gustavsbergs Porslinsmuseum)で開催された展覧会の図録に「リンドベリ風のプロポーションを持つ馬」として紹介されています。文中では、ピカソやクレー、エルンストといったモダニストに並び、陶芸という領域のなかで大胆な造形を試みた作家として語られています。
作品集にほとんど登場せず、展示機会も限られてきた希少な一点。自由な造形感覚と独自のユーモアを重ね合わせたこの馬の陶板は、リンドベリの陶芸家としての革新性を物語る貴重な存在です。
ヒビや欠けもなく良いコンディションです。
38×26(cm)
在庫1個
Stig Lindberg(1916-1982)
ストックホルムのKONSTFACK(現在の国立芸術工芸デザイン大学)を卒業後、1937年にGUSTAVSBERGの アートディレクターWILHELM KAGE(ウィルヘルム・コーゲ)に並外れた才能を見抜かれアシスタントとしてその輝かしいキャリアをスタート、1949年にWILHELM KAGEの後任アートディレクターとなり1980年まで所属。活躍の場は陶芸だけにとどまることなくテキスタイルや絵本のイラスト、トランプ、プラスティック製品、そして日本においては西武百貨店の包装紙をデザイン、1957年から1972年までは母校であるKONSTFACKの主任講師として指導にあたる等、幅広い分野で溢れんばかりの才能を発揮しました。独創的で遊び心溢れるデザインは現在もなお人々を魅了しています。