Stig Lindberg Unique Piece
¥110,000
Stig Lindberg(スティグ・リンドベリ)が自身の手で制作した一点もののスタジオ作品です。深い赤紫を基調に、黒や金を帯びた釉薬が層をなし、中央には自然な亀裂模様が浮かび上がります。偶然と制御の狭間で生まれたこの表情は、量産のテーブルウェアでは決して現れない陶芸の根源的な魅力を示しています。
リンドベリはグスタフスベリ製陶所のアートディレクターとして、日常使いの器からアート作品まで幅広く手がけました。そのなかでスタジオ作品は、工房の中で少量のみ試みられた実験的な制作の成果であり、Wilhelm Kåge(ヴィルヘルム・コーゲ)や Berndt Friberg(ベルント・フリーベリ)といった同僚作家が追求していた「釉薬による深い表現世界」へのリンドベリなりの応答とも言えます。
ただし、彼の釉薬表現は他の巨匠たちのように極端な硬質さや求道的な緊張感へは向かわず、装飾性と抑制の絶妙な均衡にあります。男性的な重苦しさや女性的な柔和さに偏らず、どちらともつかない独自の中庸さが漂い、それがリンドベリの感性ならではのバランスを生んでいます。
この作品は、リンドベリが「愛らしさ」や「遊び心」と並行して、陶芸という素材そのものの可能性に真正面から挑んでいたことを示す貴重な証です。絵付けや装飾的モチーフのイメージにとどまらず、陶芸家としての探究心と幅の広さを如実に物語っています。
ヒビや欠けもなく非常に良いコンディションです。
φ23 H5 (cm)
1970’s
在庫1個
Stig Lindberg(1916-1982)
ストックホルムのKONSTFACK(現在の国立芸術工芸デザイン大学)を卒業後、1937年にGUSTAVSBERGの アートディレクターWILHELM KAGE(ウィルヘルム・コーゲ)に並外れた才能を見抜かれアシスタントとしてその輝かしいキャリアをスタート、1949年にWILHELM KAGEの後任アートディレクターとなり1980年まで所属。活躍の場は陶芸だけにとどまることなくテキスタイルや絵本のイラスト、トランプ、プラスティック製品、そして日本においては西武百貨店の包装紙をデザイン、1957年から1972年までは母校であるKONSTFACKの主任講師として指導にあたる等、幅広い分野で溢れんばかりの才能を発揮しました。独創的で遊び心溢れるデザインは現在もなお人々を魅了しています。