【略歴】

1915年 スウェーデン南部リンネリード生まれ
1949年 クラフトデザイン学校卒業後、ロールストランド社に入社
1950年代後半〜60年代 国際陶芸展に出品(ミラノ、ロンドン、ニューヨーク)
1971年 アート部門閉鎖後も制作を継続
1976年 創業250周年記念セット「Sylvia」をデザイン
2003年 逝去(享年88歳)

【受賞・所蔵】

ミラノ・トリエンナーレ銀メダル受賞
スウェーデン国立美術館収蔵(ストックホルム)
ローシュカ装飾美術館収蔵(ヨーテボリ)
アルフレッド大学セラミック美術館収蔵(アメリカ)
スウェーデン各県奨励・芸術賞受賞
ヴィクトリア&アルバート博物館展出品(ロンドン・1959年)
ニューヨーク北欧陶芸展出品(1960年)

シルヴィア・レウショヴィウス(Sylvia Leuchovius, 1915–2003)は、
土と釉薬に詩を託し、夢見るような世界をそっとかたちにしたアーティストです。

機能主義が主流だった20世紀半ばの北欧デザイン界にあって、
レウショヴィウスは量産の効率を追わず、自由な芸術表現を追求しました。
1949年、ロールストランド社に入社。アトリエ部門で、陶板や装飾器を中心に一点物の制作に情熱を注ぎます。

彼女の作風を特徴づけるのは、小さな粘土粒や花弁状のパーツをひとつひとつ手作業で貼り重ねる繊細なレリーフ技法。
そこに透明釉を重ね、静かな色彩が、詩のように物語を紡いでいきます。

1960年、ニューヨークで開催された北欧陶芸展では、
「夢見るように繊細で、なおかつ詩情豊か」と絶賛され、
1962年、ストックホルムでの個展では、主要紙『ダーゲンス・ニュヘテル』が「陶芸に詩が宿る」と評しました。

シルヴィア・レウショヴィウスは、土を詩に変える静かな手を持っていました。
彼女が紡いだロマンティックな世界に、私たちは今も深く心を惹かれています。