リサ・ラーソン / ヨハンナの絵より(1962年)
幼い娘が描いた絵に、母がひとつの作品として命を吹き込んだ──。
家族が集うアトリエで生まれた、特別な一点です。
娘が描いた一枚の絵を、リサはそっと作品にしました。
まるい顔のようなかたち、点や線、小さな模様──二歳のヨハンナが、紙の上に夢中で描いた落書きのような絵。
それを見て、いいなと思ったのかもしれません。
意味や意図を探すよりも前に、ただその線が生きていると感じたのでしょう。
そうしたことが、ごく自然に起きる場所でした。
母が粘土をこね、父が絵を描き、子どもたちがそのそばで遊び、描き、つくっていたアトリエ。
暮らしと創作が重なりあう空間のなかで、創ることの楽しさが日常のなかに根づいていた。
この陶板は、そんな空気の中から、ごく自然に立ち上がってきたものです。
のちにこの作品は、リサの代表作のひとつとして紹介され、2010年には作品集『Lisa Larson』(PA)にも掲載されました。
完成された造形としての魅力と同時に、そこには、誰かの評価や目的に縛られない、純粋な創造のよろこびが息づいています。
──すべては、家族が集まり、暮らしのすぐそばで手を動かすことが日常だった、あのアトリエから始まっていました。
コンディション | Excellent |
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サイズ | H40 W29 (cm) |
サイン・背面情報 | 手描きサインあり |
Designer | Lisa Larson |
製作年代 | 1962 |
Lisa Larson (1931-2024)
リサ・ラーソンは、単なるキャラクター造形を超え、彫刻としての完成度と独自の造形言語で評価されるスウェーデンの陶芸家です。動物や子どもをモチーフにしながら、量産とアートの境界に新たな可能性を示しました。その作品は欧米を中心に美術市場でも高く評価され、近年では一点物や初期作を中心に再評価が進んでいます。