Sylvia Leuchovius Candle Holder
── 静かに立ち上がる造形と、深みある釉薬の色合い。北欧の詩情と日本の美意識が交差する、静謐な佇まい
1. ほのかな灯りを受けとめるかたち
ほのかな灯りを受けとめるように、沈静したかたちがそこに在ります。
2. 焼き物だけが描ける色彩の層
柔らかなオリーブ色の釉薬が、淡く黄味を帯びながら器全体を包んでいます。見る角度によってわずかに変化する色の層には、焼成によってのみ生まれる自然な揺らぎがあり、表面のわずかな色の濃淡が、静かな陰影をつくり出しています。
3. 釉薬と素地がつくる質感
表面はなめらかな光沢をもちながら、口縁や高台付近にはわずかにざらつきが残されており、手仕事の確かさが伝わってきます。釉薬のたまりやにじみが、そのまま景色となってあらわれ、炎の光をやさしく受けとめるような表情を見せています。
4. 造形としての機能美
この作品には、成形と釉掛けの両面において作為を排した誠実な手の動きが見て取れます。器形はシンメトリーに近い円柱構造ながら、中央のくびれがかすかな緊張を与え、炎を受けとめる上部の広がりへと、穏やかな動きが導かれています。
5. 光を導く彫刻的構造
立ち上がるフォルムは、ろうそくの光を受けとめるための形としてだけでなく、光と影の関係を美しく引き出す構造として成立しています。広く開いた受け口の内側には黒釉が施され、視線を引き込むような深みを与えています。
6. 静けさを宿す存在
キャンドルホルダーという用途にとどまらず、空間に「灯りの余白」をもたらす造形物として、茶の湯の場にも静かに調和するでしょう。北欧と東洋、機能と詩情。そのあわいに佇むひとつのかたちが、見る人の感性にそっと語りかけてきます。
Designer | Sylvia Leuchovius |
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コンディション | Excellent |
サイン・背面情報 | 手描きサインあり |
サイズ | φ12.5 H15.5 (cm) |
Sylvia Leuchovius (1915–2003)
土と釉薬を用いて「夢見るような世界」を表現した、スウェーデンを代表する陶芸家です。量産品の潮流とは異なる道を歩み、手仕事による一点制作にこだわり続けました。小さな粘土粒や花弁を貼り重ねる繊細なレリーフ技法と、透明感ある色彩が特徴です。その作品は「土と色彩による詩」と評され、今も静かな人気を集めています。
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