Sylvia Leuchovius Ash Tray

元の価格は ¥29,000 でした。現在の価格は ¥24,650 です。

黒釉の光沢と粒子感ある縁が響き合う、静かな存在感を放つ一点。

在庫1個


Sylvia Leuchovius《アッシュトレイ》

── 柔らかなクリーム色の縁と、黒釉の深みに満ちた中心部。ありそうでなかった配色が、用途の先入観を和らげる。繊細な釉調が、機能性を超えた静謐な表情を生んでいます。

1. 黒釉の深み ─ 焼成が生む無言の奥行き

中央には艶やかな黒釉が施され、光の反射によって金属的な赤や紫が微かに浮かび上がります。厚みのある釉薬が光と陰影を取り込み、見る角度により印象が変化します。この揺らぎは、意図的な装飾ではなく、焼成の過程で自然に生まれたもの。沈黙をたたえたような奥行きが、作品に静けさを添えています。

2. 乳白の縁 ─ 質感のやわらかさと対照の美

黒釉を囲む外縁には、粒子感を含んだ乳白の釉薬が広がります。ザラつきのある肌合いは触覚的で、中心部の光沢との対比によって、視覚的なやわらかさが際立ちます。冷たく無機的になりがちなアッシュトレイの形式を、色と質感の組み合わせによって親密で穏やかなものへと変化させています。

3. 素地の造形 ─ ロクロ成形による静かな骨格

ロクロで成形された円盤形の構造は、控えめながら緻密なつくりです。高台や底面の仕上げにも作家の丁寧さがにじみ、釉薬の流れや溜まりが中心に集中することで、視線が自然と内へ向かいます。レリーフやモチーフを排し、形状と釉薬だけで完結する姿勢は、実験的でありながら澄んだ印象を残します。

4. 機能の余白 ─ 見立てに委ねられたかたち

灰皿として制作されながらも、用途は限定されていません。厚みのある造形は安定感をもち、一輪挿しの受け皿や小物置きなど、多様な使い方を許容します。機能を超えた存在として、見る人の想像に委ねられた自由さが、この作品の魅力の一部を成しています。

5. 装飾性の省略 ─ レウショヴィウスの異相

レウショヴィウスといえば、動植物のモチーフや粒状の装飾を用いた詩的世界が知られていますが、本作はそうした特徴をあえて用いていません。構造と釉薬のみで構成されたこの作品は、彼女のもうひとつの側面——静けさの中に潜む造形的な緊張——を伝えており、装飾性を削ぎ落とした姿から、素材そのものへの信頼が感じられます。

Designer

Sylvia Leuchovius

サイズ

φ17.5 H3.5(cm)

コンディション

Excellent

サイン・背面情報

手描きサインあり

Sylvia Leuchovius (1915–2003)

土と釉薬を用いて「夢見るような世界」を表現した、スウェーデンを代表する陶芸家です。量産品の潮流とは異なる道を歩み、手仕事による一点制作にこだわり続けました。小さな粘土粒や花弁を貼り重ねる繊細なレリーフ技法と、透明感ある色彩が特徴です。その作品は「土と色彩による詩」と評され、今も静かな人気を集めています。

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