Sylvia Leuchovius《幾何学の花》(1961年)
── 白と青緑の粒が整然と並びながら、どこか自然の気配をまとった作品。花のようで抽象的。見つめるほどに、静かな感覚がひろがります。
1. 花のように、粒がつくる風景
小さな白い粒が中央に集まり、そのまわりを青緑の葉のようなかたちが囲んでいます。整った配置なのに、どこか自然で、少し風に揺れる花のようにも見えてきます。色数は少なくても、光の加減で細やかな揺らぎが生まれ、静かな表情の中に奥行きが感じられます。
2. 焼き物ならではの、やわらかなゆらぎ
粒のひとつひとつには、ほんのわずかな形の違いがあります。白はさらりと、青緑は少しだけ濃く光を含んでいて、近づいて見るほどに変化が見えてくる。焼き物ならではの風合いが、装飾というより「置かれたかたち」として、作品に自然な余白をつくっています。
3. かたちの記憶をそっと呼び起こす
おおげさなモチーフではなく、何かを連想させるようでいて、はっきりとは言い切れない。そのあいまいさが、見る人の記憶や感覚をゆっくりと呼び起こしてくれるようです。部屋に置いたときの佇まいも穏やかで、飾ってみて初めて気づく魅力がある作品です。
4. 意味にしばられない、詩的なかたち
スタジオ制作らしい親密な手触りが、レウショヴィウスの作風をよく表しています。機能や意味に縛られず、ただ「かたち」と「色」の関係を見つめたようなこの作品には、彼女が大切にしていた詩的な感覚が、そっとにじんでいます。スタジオ制作らしい親密な手触りが、レウショヴィウスの作風をよく表しています。機能や意味に縛られず、ただ「かたち」と「色」の関係を見つめたようなこの作品には、彼女が大切にしていた詩的な感覚が、そっとにじんでいます。
Designer | Sylvia Leuchovius |
---|---|
サイズ | φ14 H3 (cm) |
コンディション | Excellent |
サイン・背面情報 | サインなし |
製作年代 | 1961 |
Sylvia Leuchovius (1915–2003)
土と釉薬を用いて「夢見るような世界」を表現した、スウェーデンを代表する陶芸家です。量産品の潮流とは異なる道を歩み、手仕事による一点制作にこだわり続けました。小さな粘土粒や花弁を貼り重ねる繊細なレリーフ技法と、透明感ある色彩が特徴です。その作品は「土と色彩による詩」と評され、今も静かな人気を集めています。
▶︎ レウショヴィウスの世界へ