Sylvia Leuchovius Unique Piece

¥220,000

黒と緑が静かに溶け合う釉薬の表情。光を受けて奥行きを見せる、澄んだ色彩のボウルです。

在庫1個


Sylvia Leuchovius《花のボウル 》

── 暗く深い黒を中心に、縁へと緑が滲む穏やかな釉調。花の主題を借りながら、抽象絵画のような奥行きを見せる一点物の作品です。

1. にじむ色、沈む光 ─ 花の気配を宿す色彩

中心に広がる黒釉は、深く沈み込むように静けさをたたえ、周縁では柔らかな緑釉がじわりと滲む。その色調は、描かれたものではなく、釉薬と火の作用が生んだ複雑な階調による。均質に整えられたものではなく、焼成の中で変化し、揺らぎ、最終的に定着した色彩は、抽象と具象のあわいに浮かぶ「花」を思わせる。装飾というより、花がそこに“現れてしまった”かのような、偶然性と必然性の混交がある。

2. 素材が語る ─ 手触りの中に潜む構造

釉薬の下に透ける素地は、わずかな凹凸と粒子感を残し、触れたときの印象に深みを与える。外縁に向かって波打つようなリズムがあり、内側に向かってはごく緩やかな曲面が続く。器としての機能性を踏まえながらも、使い手の想像を限定しない自由さがある。焼き物としての厚みや形状のわずかなゆらぎが、視覚だけでは捉えきれない感覚的な重なりを生み出している。

6. 孤高の装飾 ─ レウショヴィウスの姿勢

レウショヴィウスは、身近な花や動物を繰り返し作品に取り入れながらも、それを記号化することを拒んだ。1950〜60年代の北欧陶芸がモダニズムの機能美へ傾くなか、彼女は装飾という語彙に独自の詩情を吹き込んだ存在である。本作に見られるのは、自然や素材に対する敬意と、それらとともに「成る」ことを受け入れる構え。完成された美ではなく、余白や不確かさを残すことで、作品は観る者の記憶や感覚に静かに触れてくる。

Designer

Sylvia Leuchovius

サイズ

φ30.5 H7 (cm)

コンディション

Excellent

サイン・背面情報

手描きサインあり

Sylvia Leuchovius (1915–2003)

土と釉薬を用いて「夢見るような世界」を表現した、スウェーデンを代表する陶芸家です。量産品の潮流とは異なる道を歩み、手仕事による一点制作にこだわり続けました。小さな粘土粒や花弁を貼り重ねる繊細なレリーフ技法と、透明感ある色彩が特徴です。その作品は「土と色彩による詩」と評され、今も静かな人気を集めています。

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