Lisa Larson Unique Piece

量産品の《Beata》に慣れた目には、まず“別の作品”のように映るかもしれません。表面には素地の起伏がそのまま残り、粒子の盛り上がりが光を散らす。量産品の丸みを帯びた可愛らしさとは対照的に、この個体の顔つきや体の比率には素朴でやや写実寄りの気配があり、造形の揺れがそのまま粘土の線として留められています。灰緑色の釉薬は均一ではなく、滲みや途切れ、思いがけない溜まりを生み、青白ストライプが整然と並ぶ量産品とは異なる時間の流れを示しています。

底部には刻印がなく、鋳込みで仕上げられるはずの裏面は大きく開いたまま、粗い素地が露出しています。この未処理の状態は、工房ラインに入る前——造形の確認と釉薬の反応を見るための初期焼成の中間に位置する段階を示しているように思われます。形の不安定さや釉薬のばらつきは、完成形を前提とせず、試しながら進められた制作過程の特徴と重なります。

量産品のBeataは、型取りによって均一な厚みを持ち、背面も滑らかに整えられ、服のストライプは明確なリズムをもって繰り返される。その完成度は、量産が到達した安定した美しさを体現します。しかし、この試作品では、そうした均質性はまだ影も形もない。ここではむしろ、粘土が柔らかく、色が落ち着かず、意図と偶然がせめぎ合う瞬間がそのまま表面に現れている。造形を確かめ、釉薬の反応を観察し、量産へ進む手前で行われる往復の中に生まれた一片と言えます。

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ヒビや欠けもなく非常に良いコンディションです。

H12 W18(cm)

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