Carl-Harry Stålhane Unique Piece
¥440,000
Carl-Harry Stålhane(カール・ハリー・スタルハン)によるユニークピースです。
取り繕えない葛藤と、内に沈む顔
直線的で重厚なブロック。その上面にぽっかりと穿たれた、3つの暗い穴。この彫刻的な佇まいを持つ器は、道具としての調和を拒むかのような、不思議な緊迫感をまとっています。
平らな面に描かれているのは、上塗りして消し去ろうとしたかのような、どこか呆然とした表の顔。そして裏側を覗けば、深く重い釉薬の奥底に、二重、三重にも閉じ込められた静かな顔が沈んでいます。さらに側面へと目を移すと、そこには混沌をそのまま書き殴ったような、激しい筆跡が荒々しく走っています。
何かが押さえ込まれ、沈殿している。それを花を飾ることで美しく取り繕おうとしても、己の内に宿る葛藤は消え去ることはありません。むしろ、この不条理な心の揺らぎを表現するためにこそ、彼は「花を生けるための容れ物」という不完全な形を選んだのかもしれません。美しく取り繕うことしかできない、人間の人生の切なさを、この歪な直方体は静かに見つめているようです。
土をキャンバスとした、アトリエでの自由な実験
本品は、ロールストランド窯のアトリエ部門(Ateljé)で、カール・ハリー・スタルハンが自由な表現を追求して制作した、世界に一点限りのユニーク作品です。
スタルハンはスウェーデンを代表する陶芸家であると同時に、若き日に表現主義の画家アイサック・グリューネヴァルトに師事した画家でもありました。その彼が、量産ラインの制約から解き放たれ、炻器(ストーンウェア)の素地をキャンバスに見立てて自身の絵画的感性を注ぎ込んだのが、1950〜60年代に制作された本作です。
彼の洗練された量産シリーズとは一線を画す、生々しくも迷いのない手描きの筆致。東洋の宋磁にも通じる渋みのある釉薬の揺らぎと、人間の精神の奥底を覗き込むような抽象表現が融合した、彼の創作における極めて貴重な作例です。底面には、彼自身の自筆署名とアトリエの証がはっきりと記されています。
作家: Carl-Harry Stålhane(カール・ハリー・スタルハン,1920–1990)
メーカー: Rörstrand Ateljé
制作年代: 1950–1960年代(推定)
素材: 炻器(ストーンウェア)
サイズ: 約 H27 × W24 × T11.5 cm
コンディション: 良好(Very Good)
良い状態です。大きなヒビや欠けは見られません。縁や角の茶色い擦れ、細かな汚れ、また炻器特有の釉薬のムラが見られますが、1950–60年代の炻器作品として典型的な経年変化の範囲内であり、手仕事の味わいを深める風合いとなっています。
SKU: 20240213r1/69 カテゴリー: ALL ITEMS, スタジオピース, 北欧の花器, Carl-Harry Stålhane, All Uniquepiece, vase
在庫1個
カール=ハリー・スタルハネ (1920–1990)
スウェーデンを代表する陶芸家で、Rörstrandでの40年近くにわたる活動で知られています。彼は18歳でRörstrandに入社し、デコレーターとしてキャリアを開始しました。その後、独自のスタイルを確立し、1950年代から1970年代にかけて、スリムでグラフィカルな花瓶や彫刻的な陶芸作品を手がけました。1960年代にはRörstrandの芸術監督を務め、陶芸界に多大な影響を与えました。また、1973年に自らのスタジオ「Designhuset」を設立し、自由な創作活動を行いました。彼の作品はMoMAやヴィクトリア&アルバート博物館など、多くの著名な美術館に収蔵されています。








