“陶芸を捨てて舞台美術家になったとき、涙をこぼした人が何人かいました。ウプサラ・エーケビーで過ごした1960年から67年に彼が作ったものは、陶という素材の表現に対する稀な感覚を示していたからです。
Formstad Auktioner(ストックホルム)、作品解説、2025年
ヨーラン・アンダーソンは、スウェーデンの窯ウプサラ・エーケビーで、1960年から1967年までの七年間だけ陶芸をした人です。猫、ライオン、熊、バイソン。当店が集めているのは、この七年のあいだに生まれた動物のフィギュアと陶板です。
陶芸家と呼ぶには、彼はあまりに多くのことをしました。花瓶と鉢、紅茶のセット、家庭用の鍋、陶の鏡、プールの壁のタイル、そして舞台美術。動物たちは、その多才な人が陶芸にいた短い時期の仕事です。
アンダーソンは1935年、スウェーデン西海岸の港町リューセシルに生まれました。イェーテボリの工芸学校で陶芸を学び、1959年に卒業すると、南フランスのヴァロリスで実習をします。ピカソが陶器を作っていたことで知られる、陶芸の町です。
翌1960年、ウプサラ・エーケビーに入りました。ウプサラにある、日々の器と飾りの陶器を大量に作る窯です。同じ年、彼はウプサラで作品を発表しました。新聞社の年鑑がその年のスウェーデンの工芸を振り返る頁に、「ウプサラでは、ヨーラン・アンダーソンがウプサラ・エーケビーのための陶芸でデビューした」と一行を載せています。ロールストランドのカール=ハリー・スタルハーネの新作と同じ頁に、二十代半ばの新人の名前が並びました。
そこからの七年で、彼は窯のためにおよそ何でも作りました。猫、ライオン、熊、バイソン、象のフィギュア。単色の地に線で模様を描いた花瓶と鉢と皿。紅茶のセット「Risp」、家庭用の鍋と器「Bruno/Safir」、陶の壁掛け鏡、貯金箱、百貨店オーレン&ホルム向けのシリーズ。1961年にはウプサラ・エーケビーを代表してアメリカの百貨店の催しに出て、ソルナの市営プールには壁いっぱいのタイルを作りました。
1964年、イタリアのファエンツァで開かれた第22回国際陶芸コンクールに、彼は花瓶を出品します。308人の作家が1,885点を送った年で、審査員にはフィンランドのタピオ・ヴィルカラもいました。アンダーソンの花瓶は、デンマークのグッテ・エリクセンと分け合う形で、イタリア対外貿易省の賞を受けました。受賞作は、いまもファエンツァの国際陶芸美術館にあります。
グスタフスベリやロールストランドの作家がミラノ・トリエンナーレで名を上げていた時代に、量産の窯ウプサラ・エーケビーの若い作家が国際コンクールで賞を取るのは、珍しいことでした。
“20世紀スウェーデンの陶磁器デザインを代表する一人であり、1960年代のウプサラ・エーケビーの主要なデザイナーの一人だった。
ファエンツァ国際陶芸美術館(MIC)、作家紹介
ウプサラ・エーケビーには、動物を単純な形に削ぎ落として作る伝統がありました。1940年代にヴィッケ・リンドストランドが作った象のように、細部を削って量感だけを残す彫刻です。アンダーソンはその伝統を受け継ぎながら、表情を残しました。
猫は、当店がいちばん多く扱ってきた作品です。黒い釉薬をかけた塊に、緑の顔。目と口は線で描かれ、少しとぼけています。大きさは四つあり、小さいもので9cm、いちばん大きなものは17cmを超えます。座った姿も伏せた姿もあり、大きな猫は尻尾を立てて、後ろから見ても猫だと分かります。緑の顔は猫らしさから遠いはずなのに、どこから見ても猫です。
ライオンは、たてがみを線で刻んだ丸い塊で、顔は真ん中に小さく寄っています。熊は大中小の三つの大きさで作られ、いちばん大きなものが座って手を合わせています。どれも、子ども向けのキャラクターの可愛さではありません。動物そのものが持っている、少しおかしな可愛さです。
土は暗い褐色で、釉薬は褐色・青・緑の落ち着いた色に絞られています。面はマットで、線は彫るか、黒く描くか。花瓶や鉢では単色の地に線だけで模様を置き、陶板でも同じ手が見えます。オリーブ色一色の地に線だけで描いた鳥、青と白の鳥、黄色い髪を手で描いたヴァイキング。機能と美しさを一つにするという1950〜60年代の北欧モダニズムの考えを、彼はユーモアの側へ引き寄せました。
1967年、アンダーソンはウプサラ・エーケビーを離れ、舞台美術、それも主にテレビの美術の仕事に移りました。彼のいなくなった窯で、バイソンや象の型は数年のあいだ作られ続けましたが、1970年代の初めには消えます。1989年、ストックホルムで亡くなりました。54歳でした。
陶芸に留まらなかった人の、七年の陶芸。数は多くなく、いま見つかる動物たちは、その七年に作られたものか、型だけが数年生き延びたもののどちらかです。惜しまれたのは、その短さのためでもあります。
当店が集めているのは、この七年の動物のフィギュアと陶板です。とくに猫は、大きさと表情の違うものを集めています。底には UE の印と型番、そして GA のイニシャルが押されています。
Göran Andersson
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作品一覧|All works
公開 12点
Upsala-Ekeby
アンダーソンがいた窯、ウプサラ・エーケビーの作品
作品一覧|1960〜67年に彼が働いた窯の器とフィギュア。写真は Dorothy Clough のペンギン
公開 216点